①治る認知症もある
まず、認知症だと思われていても、実は治る認知症があるのです。当院で1番よく経験するのは複雑部分発作といわれるてんかんの一種です。高齢者のてんかんはとても多いことが知られてきましたが、けいれんを伴いません。単にボーっとしていて変だと思われ、しかも記憶が抜けるのです。また頭部打撲の跡の硬膜下血腫でも、急に錯乱状態となって、周囲は認知症に違いないと思いますが、これも治ります。このような病気は他にもあります。
②早期治療につながる
次に、早期発見は早期治療につながります。早期発見・早期治療は昔から有名でした。しかし認知症では、根本治療薬がなかったこれまでは、スローガンに過ぎないといわれていました。ところが、2021年末に有名になったアデュカヌマブを始め、今では新たな根本治療薬の開発が目白押しです。当院ではこうした薬剤の治験をやっています。もちろん既にあるお薬の服用もできます。
③将来に向けて話し合う時間ができる
そして、仮に認知症と診断されても、早期の診断は深い意味をもちます。将来に備えて、今のようにまだ健康なときの自分は、家族や子孫の将来に対してこう考えているというリビングウイル(未来への連絡帳)を示すことは現実にとても重要なことです。